昨日、日曜日の朝、自宅を出て羽田経由で昼過ぎには千歳空港に到着し、仙台の木口所長に出迎えて貰い、ドリーム・スタジオ札幌に到着しました。
昨日は、長時間の移動日であったので、機内と羽田のラウンジで、思考の時間を思い切り取ることが出来ました。
たまたま、私の隣の席に座った乗客は、離着陸時もPCをずっと使い、機内の時間を最大限に有効活用していて、似たような人はいるものだと感心しました。
3月中旬の日曜日とあって、ほとんどの乗客は行楽客ですが、われわれのようにビジネスで出張している乗客も混じっているようです。
普段の日とは周りの景色も異なるので、深い思考には非常に適した1日であり、さまざまな当社の抱える問題点が明確になり、解決するための方法も見えてきました。
私の場合、このように遠方の出張が毎月何度もあり、長時間移動に縛られるので、移動時間中は他のことが出来ず、有効な思考に長時間活用できるのが非常に素晴らしいことなのです。
最近、思考していて気付いたことは、成果の上がらない原因の一つに、当事者意識が強すぎることが分かったのです。
例えば、私は常に経営講義で、生徒さんたちの抱えている問題を指導していて、かなり的確に指導出来ていると思っていますが、自分自身、或いは自社のことになると、当事者意識が働きすぎて、感情が絡み、問題を歪めてしまい、正しい解決が出来ていないことに気づいたのです。
他人のことになれば、コンサルタントのような立場で、冷めた第三者の立場でクールに解決出来るのに、自分の問題になると、感情が絡んでしまって、冷静になれないで、問題を正しく理解出来ないのです。
このことに最初に気づいたのは、私自身がそれまで取り組んでいた、機械の開発から離れた時でした。
自分自身で、機械の開発を行なっていた時は、内容が分かり過ぎているだけに、問題点がすぐに見えて、これは難しい、あれも難しいというように、大きな課題 が先に見えてしまい、開発の中身が分かっているだけに、開発陣の味方になり、大きな枠から飛び出す発想がなかなか出来なかったのです。
ところが、自分自身で開発をする部門から外れて、全体を見るようになると、開発部門が他人事になり、初めから出来るはずだという発想になり、大きな枠からはみ出し、可能なアイデアがどんどん浮かぶようになったのです。
当事者意識から抜け出し、自由な発想になり、一段上のコンサルタントのような立場で発想することが出来るようになったのです。
従って、今抱えている問題を解決しようとすると、当事者意識を捨てて、一段高い立場のコンサルタントになり、視座を高めて、全体を見渡せば良いのです。
要するに、自分が自分自身、或いは自社のコンサルタントになれば、難なく問題が解決出来るのだったのです。
コンサルタントだから、問題を解決しなければいけない責任があるのと、問題は解決出来ると信じてからスタートしているのです。
初めから自信を身にまとい、自分には解決出来ないことはない、解決出来るのは当たり前と思って臨んでいるのです。
もう一つのドラッカーの指摘する、お勧めの方法は、問題にとらわれないで、機会にフォーカスすることなのです。
われわれは往々にして、問題が発生すれば、問題に捉われてしまうのですが、問題ではなく、機会に着目するのです。
何か、問題が起きても、視点を変えて、予期せぬ成功を見つけたり、予期せぬ出来事に注目してみるのです。
これも当事者意識が強くなり過ぎるのを避けることが必要であると思います。
深い思考に陥ると、普段はゆっくり思考出来ていないが重要なことについて、思いめぐらすことが出来るのです。
来週、3月24日(火)には、東京支店では新規開業セミナーを開催し、熱い講師の藤澤常務が担当します。
https://www.yamatomfg.com/company/dream-studio/dream-studio-tokyo/
新規に開業を志している方がたへ、自分にとって麺専門店を開業することが、正しい人生であるかどうかの素晴らしい判断材料になり、方法を誤らないための指標になります。
本日も、ドラッカー選書「イノベーションと起業家精神(上)」(ダイアモンド社)に基づき、イノベーションについて、深くドラッカーから学んでいきます。
ぜひ、一緒にイノベーションと起業家精神を磨いていきます。
4.「プロセス・ギャップ」
1950年代の末、ある製薬会社のセールスマンが、独立して事業を興そうと医療のプロセスにギャップを探し、直ぐに見つけたのです。
当時、最も一般的に行なわれていた手術の一つに、老人性白内障があり、手術は定型的かつ機械的なもので、完璧なダンスのように途切れることなく、すべてを掌握して行なえる手術だったのですが、ただ、1ヶ所だけ、流れの切れるところがあったのです。
ごく小さな筋肉を切開し、血管を縫合しなければならなかったので、血が流れ、眼球を損なう恐れがあったのです。
手術自体は、優しい手術だったが、そこだけは手術をする者にとって気掛かりで、手術の流れが変わることが不安の種になっていて、何度手術をしても怖い部分だったのです。
製薬会社のセールスマン、ウイリアム・コナーは、ちょっと調べてみたところ、筋肉組織を瞬時に溶かすことが出来る酵素が、既に1890年代に分離されていることを知ったのですが、当時は、その酵素を数時間しか生かしておくことが出来なかったのです。
酵素を保存する技術は長足の進歩を遂げているはずであり、事実、コナーは数か月足らずで、酵素の効力を失うことなく保存期間を延ばす保存薬を見つけ、数年後には、世界中の眼科手術医が、コナーの会社アルコン・ラボラトリーズの酵素を使うようになったのです。
そして20年後、彼はその事業を高い値で、ある多国籍企業に売ったのです。
ここにもう一つ、教えられることの多い例があります。
O・M・スコットは、芝生関連の器具、種、肥料、殺虫剤の最大手メーカーであり、現在は大企業の子会社になっているが、芝生業界におけるトップの地位は、 同社がまだ中小企業の一つに過ぎなかった頃、シアーズ・ローバックやダウ・ケミカルのような大企業との競争の末、勝ち取ったものだったのです。
同社の製品は確かに優れていましたが、競争相手の製品も負けず劣らずであったのです。
しかし、O・M・スコットは、定量を均等に播くための器具としてスプレッダーという簡単な手押し車を開発し、その後の地位を得たのです。
芝生の肥料や殺虫剤は、すべて徹底した科学的実験に基づいて調合しているということが売り物であり、散布する量も、気温や土壌の質によって厳密に処方していて、あらゆるメーカーが、科学的とまではいかなくとも緻密でなければならないことを消費者に説いていたのです。
しかし、O・M・スコットのスプレッダーが登場するまで、そのための器具を消費者に提供したメーカーはなく、それがないことが、芝生を育てるプロセスの中で、消費者を不安にさせるプロセス・ギャップになっていたのです。
要するに、プロセス・ギャップとは、何か1つの作業を行う一連のプロセスの中で、不安に感じたり困ったりする部分なのです。
例えば、少し前、マンション住まいの奥さま方は、天ぷらを揚げた後の廃油の処理に困っていました。
彼女たちは、新聞紙にフライパンの廃油を浸み込ませ、牛乳パックをカットして、その中に丸めていれて、ゴミとして捨てていたのです。
そこで、アメリカのジョンソンは彼女たちに、次のような質問をしたのです。
「本当はやりたくないけれど、やらざるを得ないので、やっていることは何ですか?」と聞いたのです。
すると、マンション住まいの主婦たちは、上記の話をしたところ、ジョンソンはイノベーションを起こして、「テンプル」を開発したのです。
この様にして、天ぷらを揚げたあとの廃油の処理が非常に楽になったのです。
以上のように良い流れが途中で切れている場合は、必ず、プロセス・ギャップが起きていて、イノベーションのチャンスが横たわっているのです。
そして、プロセス・ギャップは、われわれの身の回りにたくさん存在しているのですが、改めて気にしなければ、それが当たり前になっているので、気付かないのです。
ギャップの1番目の業績ギャップが起きている原因の一つでもあり、流れが途切れていて、スムーズに流れていないので、業績の悪化が、起きている場合があるのです。
例えば、うどん蕎麦店等では、厨房の作業の流れの中で、天ぷらを揚げる作業も往々にして、プロセス・ギャップになっています。
メニューの中に天ぷらのメニューが多かったり、天ぷらメニューが多いのに、フライヤーの油面が小さかったり、このバランスが取れていない場合によく起きているのです。
新規開業者がよく起こしているプロセス・ギャップは、開店時の練習不足で、十分な練習をしないで開店し、開店時にお客さまを長く待たせ、怒らせたり、品質の悪い商品を提供して、悪い評判を取っている場合が多いのです。
開店までの流れを一連のプロセスと考えると、多くの新規開業者が陥っている問題点は、最初の計画をキチンと立てていないのと、開店前の練習不足であり、最初の計画の部分は、麺學校の経営講義に参加すると、十分に理解が出来るのです。
練習不足に関しては、当社の場合、新規開業者の開店前チェックとして、当社のスタッフを派遣する有料サービスがあるので、開店出来るレベルになっているかどうか、どこに問題があるのかを明確に指摘するので、開店における失敗を未然に防ぐことが出来るのです。
以上のように、流れの中で、スムーズに流れていない部分に着目すると、どこに問題点があるかがよく分かるのです。
そして、肝心なことはこのような棚卸を行なう時間を改めて取ることなのです。
普段、忙しい日々を送っていると、忙しさに流されて、気付かないことがあるのです。
「いかに見つけるか」
では、そのようなプロセス・ギャップは、運や勘によって見つけられるものか、それとも、体系的、組織的に見つけるべきものかですが、ウイリアム・コナー は、手術のプロセスの中に不安になる部分がないかを医師に聞いて回り、小さな芝生用品のメーカーだったO・M・スコットは、何か困っていることはないか を、デイーラーや消費者に聞いて回ったのです。
その結果、スプレッダーを開発し、そのスプレッダーを中心として製品ラインを組み、全国的な中堅企業に成長したのです。
プロセス・ギャップは、なかなか見つけられないような代物ではなく、消費者がすでに感じていることであり、眼科の手術医は、目の中の筋肉組織にメスを入れるとき、常に不安を感じ、そのことを人に話していたのです。
金物屋の店員は、芝生の庭を持つ顧客の不安を知っており、そのことを話していて、欠けていたものは、それらの声に耳を傾けることであり、真剣に取り上げることであったのです。
製品やサービスの目的は消費者の満足にあり、この当然のことを理解していれば、プロセス・ギャップをイノベーションの機会として利用することは容易であり、しかも効果的なのです。
しかし、それでも深刻な限界があり、プロセス・ギャップをイノベーションの機会として利用できるのは、その世界のなかにいる者だけだということであり、決して、外部の者が容易に見つけ、理解し、イノベーションの機会として利用出来るものではないのです。
以上のように、プロセス・ギャップを見つけるのは、関係者だけであり、案外容易に見つけることが出来るのです。
従って、プロセス・ギャップを活用したイノベーションも大きな効果を発揮することが出来そうです。
画像は、先週のラーメン学校の生徒さんの作品事例で、ベジタブル・ラーメンです。
スープ・ベースは、サツマイモ、大根、ニンニク、ココナッツ・ミルクです。
ラーメン学校には、国内だけでなく、世界各地から生徒さんが来ているので、さまざまなバリエーションの要望があります。
ラーメン学校では、生徒さんのどんなリクエストにも応えるのです。
今日も最高のパワーで、スーパー・ポジテイブなロッキーです。