昨日は移動日で、昼間は、本社からの同行のスタッフたちと札幌市内の新しい商業施設を観察して回りました。
札幌は、東京に次いで、斬新な店舗が次々と開店しているので、目が離せないのです。
札幌のスタッフの宍戸さんよりの情報で赤レンガ・ビルが新しくなり、新しい店舗がたくさん入っているとのことで、寄ってみました。
すると、最新のカフェ、レストラン等の店舗がたくさん入店していたのですが、それよりも驚いたのは、コンビニの「ローソン」が新しい店舗「JPローソン」を出店し、店内でサンドイッチ等、簡単な料理を手作りで作っていたのです。
商品力もカフェと同等程度の商品力がありながら、価格はコンビニの価格なのです。
コンビニがこのように、高いレベルの商品を作るのにチャレンジし続けているので、外食産業は、ますます世界最強のコンビニと競争しないで済むようにしなければならないのです。
今回、札幌ではこの「JPローソン」以外にも、通常の「ローソン」に行ったのですが、その「ローソン」は住宅地にあったので、「住宅地対策型のローソン」で、入り口を入るとすぐに、野菜とか果物の棚がどんと座っていたのです。
「セブン・イレブン」にも行きましたが、今までのように麺の種類はますます増えていて、まだ3月の中旬にも関わらず、特にサラダ麺が増え、パスタ類も相変わらず、たくさん並べていました。
そして個食の惣菜類に力を入れているのが明確で、個食惣菜を5個買えば、1個無料になるサービスまで行っていました。
札幌市内の一人世帯の比率は50%を超えているので、余計にこの戦略の徹底ぶりが目につきました。
コンビニエンスに行って気づくのは、食品の包装がスーパーの包装のレベルで、これがもっとプロらしい包装になれば、もっと外食には大きなライバルになるのではと思います。
その点で、ロンドンとか、パリのテイク・アウトの店のパッケージは、食品をより美味しく、プロらしく見せるのに大きな役割を果たしているのです。
しかし、コンビニは進化し続けているので、パリとかロンドンのテーク・アウト店をしのぐレベルに達するのは遅くないと思います。
日本のコンビニは世界最強で、その中でも「セブン・イレブン」が突出しているのですが、コンビニが外食を狙い撃ちにしている以上、外食もコンビニに出来ないことを行ない、コンビニには絶対に負けないようにしなければいけないのです。
最近、コンビニは1杯100円の淹れ立てコーヒーで大成功し、次はスイーツのドーナツに挑戦しています。
ドーナツで成功すれば、更にもっと幅を広げてくるのは間違いないので、コンビニには絶対に負けない対策が必要なのです。
麺専門店の場合、コンビニに絶対出来ないのが、麺の茹で立てなのです。
コンビニが店内で麺を茹でない限り、これは出来ないし、効率追求型のコンビニでは、店内に茹で釜を置くスペースを取ることは出来ないのです。
従って、麺専門店はコンビニに出来ない強みがあるので、その強みをシッカリとアピールし、自店の強みを理解して、生かさなければいけないのです。
基本的に、ラーメン店、蕎麦店は茹で時間が短いので、茹で立てですが、茹で時間の長いうどん店の一部では、茹で立てでない麺を平気で提供している店があります。
このようなことをやっていると、コンビニに負けるかも知れないのです。
麺専門店は、自店の強みであり、コンビニには出来ない、出来立てをもっと、強くアピールすることと、美味しさ、健康志向にフォーカスすることが大切であると思います。
今の時代は、どこにライバルがいるのかが見えない時代になっているのです。
うどん店のライバルは、うどん店だけではないのです。
来週、3月24日(火)には、東京支店では新規開業セミナーを開催し、熱血講師の藤澤常務が担当します。
https://www.yamatomfg.com/company/dream-studio/dream-studio-tokyo/
新規に開業を志している方がたへ、自分にとって麺専門店を開業することが、正しい人生であるかどうかの素晴らしい判断材料になり、方法を誤らないための指標になります。
本日も、ドラッカー選書「イノベーションと起業家精神(上)」(ダイアモンド社)に基づき、イノベーションについて、深くドラッカーから学んでいきます。
ぜひ、一緒にイノベーションと起業家精神を磨いていきます。
「5つの前提と3つの条件」
前期の例、とくに岩佐多聞の成功は、ニーズに基づくイノイベーション、とくにプロセス・ニーズによるイノベーションが成功するためには、以下の5つの前提があることを教えているのです。
(1)完結したプロセスについてのものであること
(2)欠落した部分や欠陥が1ヶ所だけあること
(3)目標が明確であること
(4)目標達成に必要なものが明確であること
(5)現状より「もっと良い方法があるはず」との認識が浸透していること
つまり受け入れ体制が整っていることなのです。
「ニーズの理解」
しかも、ニーズに基づくイノベーションには3つの条件があるのです。
第一に、何がニーズであるかが明確に理解されていることであり、何となくニーズがあると感じられてだけでは不十分で、それだけでは、目標の達成のために、何が必要なのかを明らかにしようがないのです。
例えば、数学教育に問題があることは、何百年も前から感じられているのですが、数学が簡単にわかる生徒は少なく、恐らく5人に1人もいないだけでなく、残りは一生数学が分からないままであるのです。
確かに集中的に繰り返し勉強させれば、試験で合格点を取れるようにすることは出来、日本では特に、数学に力を入れることによって合格点を取れるようにしているのですが、だからといって、日本の子供たちがとくに数学が分かっている訳ではないのです。
試験のために勉強するが、その後は忘れてしまうので、10年たって20代も後半になれば、欧米人と同じように合格点は取れなくなるのです。
もちろんいつの時代にも、才能のない生徒でさえ、数学が分かるようにしてしまう天才的な教師がいるのですが、誰も真似ることが出来ないのです。
ニーズは感じられているのですが、だが理解はされていないので、数学を教える上で必要とされるのは、天賦の才か方法論か、或いは心理的、情緒的な問題が絡むのか、それについては誰も知らないのです。
そして、まさにニーズが充分に理解されていないために、解決策も見つかっていないのです。
これは、日本における数学教育だけではなく、英語教育についてもまったく同様であり、ニーズが明確ではないのです。
もし、シンガポールのように、日本の公用語のひとつが英語であれば、ニーズが明確であるので、英語教育も今のような状態ではないはずです。
従って、プロセス・ニーズによるイノベーションではまず最初に、ニーズが明確であることは欠かせないのです。
「知識の入手可能性」
第二に、イノベーションに必要な知識が手に入ることであるのです。
製紙業界には、現在よりも無駄が少ない経済的なプロセスという明確なニーズが以前からあり、既に1世紀にわたって、多くの優秀な人材がこの問題に取り組んでいて、ニーズが何であるかは明確に理解されていて、リグニン分子のポリマー化であるのです。
これは容易なはずであって、既にほかの分野では行われていて、十分な経験を持つ優れた人たちが、1世紀に及ぶ絶え間ない努力をしてきたにもかかわらず、そのための知識は得られていないので、相変わらず「何か別の方法を試してみよう」と言っているだけなのです。
ライト兄弟が飛行機を発明する前から、人類が空を飛ぶというニーズはあったのですが、知識が不足していたので、実現していなかったのです。
ところが、ライト兄弟が初めて、試行錯誤の結果、知識を身につけて人類による飛行を始めて可能にしたのです。
そして、一旦知識が出来上がると、それからの飛行機の進歩はたいへんな速度で、世界中に広がったのは、写真とまったく同じであったか、写真よりも早かったのです。
最近では、同じようなものにインターネットがあり、この広がりの速度は、更に早くなっているのです。
要するに、知識の活用によるイノベーションは加速していくと言えるのです。
「使い方との一致」
第三に、問題の解決策が、それを使う者の仕事の方法や価値観に一致していることであるのです。
写真の素人は、初期の写真技術があまりに複雑なため、使いこなせなかったので、彼らは、とにかく簡単に、ある程度の出来栄えの写真が撮れるようになることを望んでいたのです。
従って、労力や技術を不要にしてくれる、プロセスを受け入れる素地はあり、同じように、眼科の手術医は、優雅で流れるような出血のないプロセスに強い関心を持っていたのです。
従って、これを可能にしてくれる酵素は、彼らの期待や価値観に一致していたのです。
ところが、明確なニーズに基づくイノベーションでありながら、当事者の仕事のやり方に合わなかったために、なかなか受け入れられない例が実際にあり、すで にかなり前から、弁護士、会計士、技師、医師などの専門家が必要とする情報の量は、それを見つける能力の向上を上回って増大しているのです。
彼らは、専門図書館やハンドブック、或いは情報サービスで情報を探すのにかなり時間をとられるとこぼしているので、当然、優れたデータバンクが成功するはずだったのです。
コンピュータのプログラムとデイスプレーが、弁護士は判例、会計士には税制、医師には医薬品や毒物の情報を、直ちに与えることが出来たのですが、今日、それらのデータバンクは、収支に見合うだけの加入者を得るのに苦労しているのです。
例えば弁護士向けの判例検索サービスであるレキシスでさえ、必要な数の加入者を集めるのに、10年以上の年月と膨大な費用がかかったのです。
その理由は、おそらくデータバンクが、問題をあまりに簡単に解決してしまうことにあり、専門家というものは記憶力、即ち必要な情報を記憶し、或いはその情報の取材地を記憶する力を大切にするのです。
未だに弁護士を志す若者は、「必要な判例は覚えるように。或いはどこにあるかを覚えるように。」と先輩から言われるのです。
従って、データバンクは、いかに仕事に役立ち、時間と費用を削減してくれたとしても、彼ら専門家たちの価値観に反するのです。
ある有名な外科医は、自分の行なった診断をチェックし、治療に必要な情報を与えてくれるサービスをなぜ使わないかと聞かれて、「簡単に探せたのでは、私が要らなくなってしまう」と答えたというのです。
当社が製麺機「真打」を開発した時も同じ様なことが言えるのです。
今から考えれば、嘘のような話ですが、それまでの手打ち職人のプライドが、このような機械でうどんを打つことを認めなかったのです。
ニーズによるイノベーションの機会は、体系的に探すことが出来、電気に関してエジソンが行なったことが、それだったのです。
ヘンリー・ルースはエール大学の学生だった頃に行ない、ウイリアム・コナーが行なったこともそれだったのです。
ニーズに基づくイノベーションは、まさに体系的な探求と分析に適した分野であり、ひとたびニーズを発見したならば、まず、先に述べた5つの前提に照らしてみることが必要であるのです。
しかる後に、3つの条件に合致しているかどうかを調べることが不可欠であるのです。
すなわち、ニーズは明確に理解されていて、必要な知識は現在の科学技術で手に入れられるか、そして得られた解決策は、それを使うはずの人たちの使い方や価値観に一致しているかであるのです。
今日から、久しぶりに本社でいると、珍しいお客さま方がご来社されました。
熱心さが以前にも増して加速し、経営者として更に進化している様子がよく分かりました。
日本のラーメン業界をけん引する、素晴らしい人たちでした。
今日も最高のパワーで、スーパー・ポジテイブなロッキーです。