本日のテーマは、「当たり前のことはやらない」です。
昨日は、成田からデユッセルドルフまでの約12時間の機内で、大和通信5月号の原稿を書き上げたのです。
本来は、5月20日までに、ネット上にアップしなければいけないのですが、社内の都合で遅れてしまい、急いで書き上げました。
今回のスタッフたちから与えられたテーマは、生パスタで、最近、生パスタ店が増え、生パスタの人気に火がついていて、当社の製麺機で、パスタ店を開くお客さまが非常に増えているのです。
当社も全社を挙げて、生パスタの研究に取り組んでいて、さまざまな小麦粉を使い、いろんな食感のパスタにチャレンジしています。
更に、今回はその延長線上で、生パスタを含めた麺類、料理、飲食分野の研究を踏まえ、ロンドン、スイス、ドイツを関係スタッフたちと回っているのです。
今回の大和通信の生パスタの原稿は、私なりの一般の人たちのとらえ方と違った視点で、書いてみたので、書いているうちに、面白いことが分かりました。
基本的に生パスタは汁のない麺類の一種で、焼きうどん、焼きそば、最近流行っている混ぜそばの兄弟分なのです。
食感はすべてモチモチ感のある餅状食感が特徴で、ソースは基本的に味が濃く、麺によく絡み付くようになっています。
また、生パスタのような汁無し麺は、世界中で広く分布し、一般的にはベトナムのフォーも汁のある料理が多いのですが、一部では汁なしのフォーもあり、非常に美味しいのです。
ビーフンなども、汁無し麺の一種であり、これからは世界中で、汁無し麺類がもっと広く広まる可能性が高いのです。
汁無し麺類の場合、ソースのバラエテイも豊かで、トッピングのバラエテイも同じく豊かで、何でもありの世界で、どんな料理も出来、競争変数が非常に多いので、大手の参入が難しいのです。
また、汁無し麺類の場合は、汁ありの場合と比べて、延びにくく、汁がないので、容易にテークアウトに適用出来、狭い店で売上を上げやすいことです。
汁あり麺と比較して、熱い状態だけではなく、冷めて冷たくなっても、比較的美味しく、食べ易いのも特徴です。
日本人のように、うどん蕎麦をすすり込むことが苦手な世界中の人たちにとっても、食べ易い食べ物であり、テークアウトでも、場合によってはどこででも、場所を問わず、食べることが出来るのです。
このように、生パスタ、焼きうどん、焼きそば、混ぜそばは、グローバル市場で、大きな可能性を秘めた麺類だと言えます。
最近、当社は各地のドリーム・スタジオにて、生パスタ、焼きそば、混ぜ蕎麦等の汁無し麺類の講習会を開催していますが、非常に人気があり、この分野を志す人たちが増えているのです。
そして、以前から、当社ではパスタ学校の開校を準備してきましたが、いよいよ6月16日から21日の間で、東京支店で1回目のパスタ学校を開校します。
一般的なパスタソースは、オイル系、クリーム系、ミートソース系、トマトソース系、魚介類系の5種類ですが、当社のパスタ学校では、このような基本的なソースはもちろん、これ以外のさまざまな、面白い和風ソースにチャレンジします。
麺もバラエテイ豊かな、多くの種類のチャレンジし、盛り付けも一般的なパスタ店が行なっている、当たり前の盛り付けを教えることはなく、際だった個性のある盛り付けにチャレンジしてみる予定です。
今後とも、業界に衝撃を与えるようなパスタ学校にチャレンジし続けますので、生パスタで業界をリードしたい方は是非、次回の生パスタ学校にご参加下さい。
次に、大切なお知らせがあります。
今月26日(火)、27日(水)の2日間、北海道の十勝で、自家製麺出張教室を開催します。
(https://www.yamatomfg.com/special-noodle-events/)
今回は、ドリーム・スタジオ札幌の宍戸だけでなく、ドリーム・スタジオ大阪の看板娘の武藤、そして、福井から篠原が駆けつけ、最近、関西地区でヒットしている面白い麺類の実演も行ないます。
本日も、ドラッカー選書「イノベーションと起業家精神(下)」(ダイアモンド社)に基づき、イノベーションについて、深くドラッカーから学んでいきます。
ぜひ、一緒にイノベーションと起業家精神を磨いていきます。
4残された課題
しかし、これら2つの社会的イノベーションでさえ、例示にすぎないといえるのであり、その前に、政策、姿勢、とりわけ優先順位の大幅な見直しが必要で、そ して何よりも、個人と組織が、柔軟であること、学習しつづけること、変化を正常なこと、かつ機会として、受け入れる土壌をつくることが必要なのです。
◆税制の見直し
たとえば、その一つが税制の見直しで、税制は、それが行動に与える影響だけでなく、社会の価値観や優先順位の象徴としても重要な意味をもつのですが、先進 国では、税制が昨日を切り捨てることを厳しく罰し、事業や製品ラインの売却や清算による収入を所得として扱うのですが、この金は回収にすぎないのです。
ところが税制は、この金について利益と見なし、法人税を払わせ、株主に分配すれば、あたかも利益の配分であるかのように個人所得税を払わせ、その結果、企 業は古いもの、陳腐化したもの、もはや生産的でないものを廃棄しにくくなり、手放すことなく金を注ぎ込まされているのです。
さらに悪いことには、その結果、企業の最も有能な人材に、陳腐化したものを守る役目を果たさせ、最も稀少で最も価値ある資源、その明口をつくる役目を果たすべき人たちを、誤って配置させているのです。
あるいはまた、たとえ陳腐化した事業や製品ラインを清算あるいは売却したとしても、その金を株主に配分できなくし、そのため、起業家的な機会への投資に振り向けることのできる資本市場に還流させられなくしているのです。
その結果、企業はそれらの金を内部に留保し、昔からの陳腐化しつつある事業や製品、すなわち、資本市場では資金を調達できない事業や製品に投入し、ここでも、稀少な資源の大々的な配分の誤りを招いているのです。
起業家社会で必要とされているものは、資金を昨日のものから明日のものへ、移動しやすくさせる税制であり、現行のもののように、それを妨げ、罰する税制ではないのです。
さらにまた、税制は、成長しつつあるベンチャー・ビジネスにとって最も重大な財務上の問題、すなわちキャッシュの不足を緩和する必要があり、その方法の一つは、国が経済活動の現実を認めることであるのです。
すなわち、設立後5、6年の新事業にとって、利益は会計上の虚構にすぎないという現実を認めることで、その間、事業継続のコストは、ほぼ必然的に、昨日の事業からの余剰、すなわち昨日のコストを上回る今日の収入分よりも大きなものとなるのです。
ということは、新しい事業が成長するためには、その余剰分をすべて投資しなければならないということで、成長が早ければ、経常の余剰、すなわち利益として生み出すことができる額を超えた投資が必要となるのです。
したがって、成長する新しい事業は、ベンチャー・ビジネスであれ既存企業の一部門であれ、スタート後の数年間は、成長期の小さな子供に大人を養う余剰を生 み出すことを期待すべきでないように、法人税をとるべきではなく、そもそも税は、社会における生産者が、ほかの誰か、すなわち非生産者を助けるためのもの であり、しかも、新しい事業が成長するまで法人税を免除するならば、結局は、免税分よりもはるかに大きな税収を得られるのです。
もしこの提案が大胆すぎるのであれば、少なくとも、事業が乳幼児の段階にある間の「利益」については、税の支払いを繰り延べられるようにすべきで、資金繰りが厳しい時期を過ぎるまでは、資金を手元においておけるようにする必要があるのです。
いかなる罰も金利もなしに、これを行えるようにしなければならず、つまるところ、起業家社会と起業家経済の実現には、資本形成を助長する税制が必要であるのです。
日本経済の秘密の一つとして、資本形成にかかわる脱税の奨励があり、日本では金利が非課税となる中規模の貯金口座を一つもつことが許されているのですが、実際は、日本にはそのような口座が、子供を含めた人口の5倍あるというのです。
もちろんこれは、マスコミや政治家が攻撃する違法行為であるのですが、日本では、この制度の濫用を防ぐための措置については、きわめて慎重で、その結果、日本は世界で最も資本形成率の高い国になっているのです。
これは、資本形成の必要性と、金利や配当を罪悪とまではいかなくとも不労所得、あるいは資本家的収奪とする非難とのジレンマを解決する方法としては、迂遠にすぎるかもしれないのです。
しかしいずれにせよ、起業家の時代にあって、競争力を維持しようとするのであれば、日本が半ば公認の違法行為によって実現しているような税制、すなわち資本形成を促進するための税制を構築しなければならないのです。
普段、税制が大きなコスト負担になっているとは思っていなかったのですが、税金に関する業務に大きな人件費を割かれているのは間違いなく、消費税等の計算も非常に面倒な計算になっているのです。
税金に関することは、企業の内部の問題ではないのですが、税金負担が多い国より少ない国の方が、税務処理が難しい国より、簡単な国の方が、これからのグ ローバル競争には、受け入れられやすいので、企業に大きな負担をかけている国からは、企業が逃避する可能性が高く、国力を落とす原因になりかねないので す。
海外に出て、国ごとの税制を調べてみると、国ごとに大きく異なり、これから発展する可能性の高い国とそうでない国の差が顕著に分かります。
◆ベンチャーを守る
起業家精神を奨励する税制、少なくとも阻害することのない税制の実現と同じように重要な施策として、増大する政府規制、報告義務の類からベンチャーを守る 制度の導入があり、ドラッカーの処方は、ドラッカー自身、実現の可能性を信じているわけではないのですが、ベンチャー・ビジネスであれ、既存企業の社内ベ ンチャーであれ、収益の一定割合、たとえば5パーセントを超えるコストを発生させる規制、報告、事務処理については、そのコストを政府に請求できるように することであるのです。
そのような措置は、社会的部門のベンチャー機関、たとえば外来専門の外科クリニックの育成には、とくに有効であり、先進国では、社会的機関は、政府が定めた各種手続きによって、企業以上に重い負担を負わされているのです。
政府のために行わざるをえない各種の雑用によって重い負担を強いられていて、しかも通常、それら社会的機関は、資金的にも人的にも、それらの負担を負えるだけの力がないのです。
ドラッカーのこの処方は、先進国で知らぬ間に進行しつつある重病、すなわち政府に起因する見えざるコストの着実な増加に対する最善の治療法であり、おそら くは唯一の治療法といってよく、それらのコストは、費用としてのコストになっているのみならず、有能な人材に、その時間やエネルギーを費やさせることに よって、さらに大きなコストとなっているのです。
それらのコストは、時間の半分を政府の書式や報告書への記入にとられている看護婦の人件費として、開業医の会計のなかに埋もれていたり、あるいは、16人の上級管理者が、政府の命令や規制に協力させられている大学の予算書に隠されているのです。
さらには、275人の従業員のうち19人が会社から給料をもらいながら、実際には政府の徴税人として、仲間の従業員の給与から、所得税と社会保険料を源泉徴収し、取引業者や顧客の税務番号を照会して、政府に報告している中小企業の損益計算書に隠されているのです。
ヨーロッパにおいては、付加価値税まで徴収させられている、中小企業の損益計算書のなかに隠されていて、いずれも見えないコストであり、見えないコストは、純粋に非生産的であるのです。
はたして、企業の税務担当者が、国富なり生産性なりに貢献し、物質的あるいは精神的に、社会の福祉に貢献していると考える者がいるだろうかと思えるのです が、先進国では、政府は、われわれの最も稀少な資源、すなわち有能かつ勤勉な訓練された人材のますます多くを、それら不毛な仕事に振り向けることを命じて いるのです。
政府にかかわる見えざるコストという癌を切除することはもとより、その進行を食いとめることさえ望み薄かもしれないのですが、少なくとも起業家的なベン チャーだけは、この癌から守る必要があり、われわれは、政府の新しい政策や措置のすべてについて、「イノベーションの能力を高めるか」「社会や経済の柔軟 性を促進するか」「イノベーションと起業家精神を阻害し、罰することにならないか」を問わなければならないのです。
もちろん、イノベーションを行う能力に対する影響だけが、政策や措置を判断するうえでの唯一の基準ではなく、決定的な基準でもないのであり、そうであって はならないのですが、それは、政策や措置を決定する前に考慮しなければならないことであり、今日それは、いかなる国でも、またいかなる政策決定者によって も考慮されていないのです。
画像は、デユッセルドルフのホテルの近くにあった、有名なカフェに行ってみましたが、メニューは10年くらい前の日本のメニューで、サービス・レベルもないに等しいカフェでした。
価格はそれなりの価格で、改めて、ドイツは外食のレベルが、遅れていることがよく分かります。
しかし、出てきた生ハムだけは非常に美味しかったのです。
本日は、デユッセルドルフから、ロンドンに移動します。
今日も最高のパワーで、スーパー・ポジテイブなロッキーです。