本日のテーマは「シンガポールの利点」です。
昨日でシンガポールの2日間にわたるイベントは終え、本日は帰国につきます。
今回もシンガポールへ来て改めて、シンガポールの国造りの素晴らしさを再認識したのです。
初日にジェイソンの自宅に訪問した時、国営アパートであったのですが、全室に厚い鋼鉄製の扉が付いた、防災用のシェルターが備えられ、万一の時に何日かは家族全員が生存できる空間があるのです。
よく聞いてみると、国営アパートだけではなく、民間アパートにも全戸に義務付けられていて、日本では想像できないような戦略で、当然、有事の際を想定しているのです。
スイスには、全戸に核シェルターが備えられているのが有名ですが、実質的に世界の先端を行っている国々は、上層部だけでなく、国民全体を守り、大切にする意識が溢れているのです。
更に、シンガポールには国民全体の徴兵制度があり、兵役の義務があり、徴兵制の義務のあるのは、スイスのような永世中立国にも存在し、強い国には強い国になるような仕組みが、社会全体に組み込まれているのです。
シンガポールは観光立国でもあるので、観光客が世界から来ますが、観光客が世界から訪れる大きな要因のひとつが安全で、幾ら風光明媚であっても、安全が保障されていないと、観光客は来ないのです。
そのために観光立国とか、海外から優秀な人を集めようとしている国は安全面の対策にも非常に力を入れているのです。
シンガポールに距離的に近い国として、フィリッピンがあるのですが、フィリッピンは安全面が保たれていないので、観光客には余り人気がなく、世界中から優秀な人材を呼び寄せるにも魅力がないのです。
グローバル化になれば、国同士が自国の魅力を高め合って競争をしているようなもので、その魅力度の高い国ほど、優秀な人材を集め、優秀な企業を集め、世界中から多くの人びとを集め、更に進化、発展するのです。
その成功事例がアジアでは、シンガポールであり、西洋ではスイスであり、それぞれの国のサイズは決して大きくはないのですが、現在の世界では突出して成功しているのです。
日本も過去に大きなチャンスがあったのですが、残念ながら日本は違った方向に向いてしまったのです。
国も企業もまったく同じで、どんなに上手くいっている時も油断せずに、失意の時も熱心に頑張り続けることが大切であり、絶対に諦めないことが大切で、常に世界から取り残されないことですが、現在の日本は、まったく元気がないのが気になります。
本日もジェイソンにあちこち案内して貰いながら、シンガポールのさまざまな制度を聞いていると、新規開業に対する補助金も非常に大きく、例えば、さまざまな投資を行った場合に、投資金額の最大70%で、30万シンガポール・ドル(約2730万円)までの補助金が出るのです。
更に、ビジネスで新しく、以下のような人を5名以上採用すると、30万Sドル(約2730万円)以内の補助金が2年間にわたり、支給されるのです。
1. 留置所経験のあるもの
2. 障害者
3. 知能薄弱者
4. 母子家庭の母親
その他にもまだまだたくさんのビジネスに対する補助金が支払われ、税金についても、日本では法人税・事業税・住民税等法人が支払う税金の合計は40%前後になりますが、シンガポールでは2008年(2007年の利益に対して)から最高で18%になり、さらに新規の会社や利益の小さい企業には優遇措置があり、総合すると、実際にはほとんどの会社の実効税率が10%を切るともいわれています。
最近、日本も安倍政権になってから、補助金の大盤振る舞いを行なっていますが、それでもシンガポールと比較すると、はるかに見劣りするのです。
そして、設立後3年間、特別優遇、利益10万Sドル(910万円)まで無税で、シンガポールでは立ち上げてから3年間特別の優遇措置があり、4年目以降は、既存の会社と、同じ税金体系となるのです。
以上のように、日本国内と比較すると、多くの点でシンガポールでのビジネスのメリットが多いので、同じアジアに拠点を置くのであれば、日本を避けて、シンガポールを選ぶ、北米、ヨーロッパの企業も多いのではと、想像出来ます。
以上の点において、日本他、他のアジアの国々の対策はシンガポールと比較すると、たいへん見劣りするのです。
この様にしてみると、シンガポールに拠点を置くのと、置かないのであれば、長い目で見ると、非常に大きな差が現われるのです。
このようなことも現地に来て、調べるから分かるのであって、もし、現地に来て調べていないと分からなかったのです。
本年2月21日から始まった、91日間に及ぶ、「イノベーションと起業家精神」の学びを終え、さらに学びを深めるために、5月26日より7月5日まで41日間の復習を進めてきましたが、さらに理解度を増すため、再再度、チャレンジし、自分自身を大きく変えるのに役立てていきます。
「ギャップを探す – 第2の機会」
ここでいうギャップとは、現実にあるものとあるべきものとの乖離、あるいは誰もがそうあるべきとしているものとの乖離であり、不一致であり、原因は分からないことがあり、検討さえつかないこともあるのですが、それにも関わらず、ギャップの存在は、イノベーションの機会を示す兆候であり、それは、地質学でいう「断層」の存在を示し、まさに断層はイノベーションへの招待であり、断層では、わずかな力が、社会を動かし、経済構造や社会構造に変化をもたらす不安定状態を生み出し、このギャップは、通常、マネッジメントに提示され、検討を加えられるような数字や報告の形では現れないで、定量的というよりは定性的であり、ギャップとは、予期せぬ成功や失敗と同じように、すでに起こった変化や起こり得る変化の兆候であり、ギャップは予期せぬ事象と同じように、1つの産業、市場、プロセスの内部に存在するので、その産業や市場、プロセスの内部、或いは周辺にいる者は、ハッキリ認識することが出来、まさに彼らの目の前にあるのですが、同時に、ギャップは、それを当然のこととして受け止めてしまいがちな、内部の者が見逃しやすいものであり、彼らは「ずっとそうだった」と言うのですが、多くの場合、その「ずっと」が、実は最近のことにすぎなく、イノベーションの機会としてのギャップは、以下のように、幾つかに分類できるのです。
1.業績ギャップ
2.認識ギャップ
3.価値観ギャップ
4.プロセス・ギャップ
「業績ギャップ」
製品やサービスに対する需要が順調に伸びているならば、業績も順調に伸びていなければならないし、需要が順調に伸びている産業では、利益を上げることは容易なはずであり、しかも、上げ潮に乗っているはずであり、そのような産業にありながら業績が上がっていないのであれば、何らかのギャップが存在すると見るべきであり、それらのギャップは、1つの産業全体、あるいは、社会的部門全体におけるマクロ的な現象であることが多く、通常、それらのギャップをイノベーションの機会として利用するのは、中小の専門企業であり、しかも、この機会を利用する者は、長期にわたってその利益を享受することが出来、予期せぬできごとによるイノベーションは、大企業の方が有利であったのですが、ギャップをイノベーションの機会として利用出来るのは、中小の専門企業であり、長期にわたり、その利益を享受出来るので、われわれ中小企業は最もギャップに注目すべきなのです。
ほかの企業や社会的機関が、この危険な競争相手に気づくのは、かなり経ってからであり、ほかの企業や社会的機関は、需要の増大と業績不振とのギャップを埋めるのに忙しく、誰かほかの者が何か別のこと、成果の上がること、需要の増大を利していることに気づかないのですが、イノベーションを行なうためには、必ずしも、ものごとが動くべきであるのに、動かない原因を知ろうとして苦労する必要はなく、「このギャップをイノベーションの機会として利用するためにはどうすべきか、何がそれを機会に変えてくれるか、何が出来るか」を問えばよいのです。
「鉄鋼業と製紙業の例」
業績ギャップは行動を要求し、問題が明らかでなくとも、とるべき行動が明らかなことがあり、もちろん、問題が明らかでありながら、取るべき行動が明らかでないこともあり、鉄鋼業における電炉の例は、ギャップをイノベーションの機会として利用することに成功した良い例であり、第1次大戦後から今日に至るおよそ50年間、先進国の高炉メーカーがブーム的な好業績をあげたのは、戦時中だけで、鉄鋼に対する需要は、少なくとも1973年までは着実に伸びていましたが、平時における高炉メーカーの業績は、失望させられることが多く、この業績ギャップの原因は昔から明らかで、高炉の場合、需要の増加に応じた生産量の増加の最小単位がきわめて大きく、必要とされる設備投資が巨額にのぼり、生産能力が大幅に増大してしまうからであり、新設の高炉の稼働率は、需要が新たな生産能力に追いつくまでの間、低いものとならざるを得なく、しかも、戦時を除き、需要は徐々にしか増加せず、需要が増加しているときに、生産設備の増設を行なわないことは、シェアの喪失、ときには恒久的な喪失を意味するので、そのようなリスクを冒せる高炉メーカーはないので、高炉が高収益は享受できるのはごく限られた期間、すなわちあらゆる高炉メーカーが、設備の更新を開始してから完成するまでのわずかな期間と言うことになるのです。
その上、1870年代に発明された製鉄のプロセスそのものが、これも昔から知られているように、基本的に不経済であり、物理の法則に反し、従って経済の法則に反し、物理の世界では、温度の変化は、重力や慣性に対する抵抗に次いで大きなエネルギーを要求し、一貫製鉄所では、加熱と冷却を4度繰り返し、そのうえ高熱の重量物を持ち上げ、相当の距離を運ばねばならないので、このような高炉の特有の弱みを緩和するイノベーションを行なえば、鉄鋼の生産コストを大幅に引き下げられることは、かなり前から明らかになっていたのです。
そして、電炉が行なったことが、まさにそれであり、電炉は、決して小さな製鉄所ではなく、最低規模の電炉さえ、年間売上1億ドルであるのですが、最低規模の一貫製鉄所と比べて、6分の1から、10分の1に過ぎず、従って、電炉は、すでに市場に存在する需要に合わせて、生産能力の増大を小刻みに行なうことが出来、しかも、電炉は一度加熱するだけであり、冷却を行なわず、そのまま全プロセスを終了し、電炉は、原料として鉄鉱石の代わりに鉄屑を使い、最終製品も鋼板や棒鋼に特化しているので、高炉が労働集約的であるのに対し、オートメ化が容易であり、電炉の生産コストは高炉の半分以下であるのですが、各国の政府、労働組合一貫製鉄所は、あらゆる方策をもって電炉の発展を抑えようとしたのですが、電炉は増え続けていて、2000年には、アメリカで消費される鉄鋼の半分以上が電炉によるものかもしれないのですが、その間、高炉のよる大規模一貫製鉄所のシェアは低下していったのです。
私は機械工学出身でしたが、上記の高炉一貫生産製鉄所のジレンマを知らなかったので、改めてドラッカー博士の見識の広さに驚くと同時に、1つの産業の中にこのような問題の存在にも驚き、ライバルとの競争に明け暮れる以上に、業界の構造にメスを入れ、自社が存在している、業界の特質を理解することの大切さを改めて理解し、多分、どのような業界でも深掘りすると、恐らくこのようなギャップ、ジレンマを抱えているはずで、ほとんどの業者は、ライバル業者との間の競争に明け暮れていて、このようなギャップの存在を掘り下げようとしている者はいないのです。
日本の外食産業は、ピークの1997年(18年前)まで右肩上がりで成長し、その後、ほぼ一貫して右肩下がりで落ち続け、それはまさに、1995年にピークを打った生産年齢人口の推移と、ほぼ同じ推移を辿っているのですが、生産年齢人口の減少幅(12%)よりも、落ち幅が大きく、約20%程度、ピークより減少し、この余分な落ち幅がギャップであり、サラリーマンの小遣いのピーク比での半減が大きく影響をし、サラリーマンの小遣いの半減が、居酒屋市場を直撃して、居酒屋市場はピークと比べると、市場規模を3分の2以下にしているのですが、外食市場全体の数字に比較して、うどん蕎麦店市場は堅調で、2013年のデータでも、過去、最高の市場規模を誇っているのは、生産年齢人口の落ち込みを完全にカバーしているシニア世代の影響が大きく、以上の事実より、私はこれからうどん、蕎麦、ラーメン店が狙っていくべきお客さまは、女性とシニアであるとの結論を導き出し、この事実を麺学校で指導し、現に、サラリーマンを対象の麺専門店ビジネスは苦戦し、女性、シニアを狙っている坂東太郎とか、ラッキー・ピエロのような飲食店が成功しているのです。
当社の場合も、麺市場の規模と、製麺機市場の間のギャップの存在に気づいていて、製麺機を購入するお客さまは、新規にうどん蕎麦店、ラーメン店を開業するお客さまと、既に開業しているお客さまが大きな需要者であり、新規開業者が増えれば増える毎に、需要は大きくなり、既存店への販売は、麺市場の景気の波に左右され、今までは需給のギャップについて、深く追求したことがなかったのですが、改めて、この大切さがよく分かりました。
画像は、本日の夕食のシンガポール料理の店で食べた、ココナッツミルクで炊いた長い粒のご飯の料理で、これが病みつきになるほど、美味しいのです。
今回はシンガポールの地元の人たちが利用するレストランへ、何度も行きましたが、どれも驚くほど美味しくて、値段が非常に安いのです。
ほとんどの料理は、500円程度で満腹になり、シンガポール人は、朝昼晩の3食とも外食で済ませる意味がよく分かります。
今日も最高のパワーで、スーパー・ポジテイブなロッキーです。