昨日は、うどん蕎麦店、ラーメン店の新規開業後1年以内、3年以内の閉店率が非常に高いにもかかわらず、当社の製麺機のユーザーさまと麺学校の卒業生の閉店率が異常に低いことをご説明しました。これは、以前から同じような調査を何度かした結果、同じ
ような結論が得られ、当社の製麺機のユーザーさまは、通
常の一般の開業者に比較して、閉店率が極端に低いのが特
徴なのです。
今回は、麺学校の生徒さんの閉店率に関しては、初めての調査であったのですが、麺学校の生徒さんの方が、麺学校に参加していない、製麺機のユーザーさまよりもさらに閉店率が低いことが分かったのです。
これは、簡単に理解出来ることで、当社の製麺機は麺質の向上と安定に非常に力を入れて開発しているので、製麺機の価格が最初から高く、当社の製麺機を購入するお客さまは、価格の高い分だけ余分にリスクを取っていることになります。
最初に取ったリスク分が長い間で、お店を美味しい麺がある繁盛店へと導き、麺が美味しい店として、食べログの上位になり、多くの麺好きのお客さまを魅了しているのです。
ところが、当社の製麺機の良さを理解して買って戴くお客さまがいる反面、製麺機を買うお客さまによっては、製麺機は何でも良い、安ければ良いと思って買う人がいます。
このようなお客さまにとっての価値感は、価格の安さが一番になっているのです。
当社の製麺機は、麺の美味しさにかけてはどこにも負けず、コンパクトで使いやすく、さらに安全で、耐久性が高く、長持ちするように設計しているので、その分だけ、価格が他社よりも高い場合があるのです。
従って、価格の安さを追求するお客さまは、絶対に当社の製麺機を購入しないのです。
当社の製麺機を購入されるお客さまは、麺の美味しさにこだわり、安全性にこだわり、従業員を大切に思っているオーナーしか、買わないのです。
従って、当社の製麺機を購入して戴くお客さまの価値感は、麺の美味しさと安全性では妥協せず、価格はその後なのです。
だから、そのようなユーザーさまのお店に来店する一般のお客さまは、当然、同じような価値感を持ったお客さまが来られるのです。
製麺機に求める価値感として、当社は美味しさの他に安全性に大きな焦点を当てているのです。
当社も創業当初の製麺機は今ほど安全ではなく、ときどき、製麺機で怪我をするお客さまが出たのです。
その度に、安全性を強化し続け、今では普通に使って戴ければ、絶対に怪我しないと言えるほど、安全対策には力を入れてきたのです。
それでも、せっかく付いている安全装置を外して使うお客さまがいたので、最近の機械では、安全装置を外し難くしているのです。
最終的には、安全装置は使用者が絶対に外すことが出来ないようにしなければいけないと思っています。
私は、製麺機の販売を始めてすぐに気づいたのは、製麺機に求められる重要な要素として、美味しさも大切であるが、安全性がもっと大切であるということでした。
安全装置を付ければつけるほど、製麺機のコストは高くなり、売り難くなります。
製麺機をたくさん売ることが価値感の上位であれば、安全装置を付けないで、安い価格にした方が売り易いのです。
しかし、ここは絶対に当社は譲れないところであり、幾ら売れるのが分かっていても、安全装置の十分でない機械は売ってはいけないと思っているのです。
だから、安全装置は当社の製麺機の開発の価値感の上位にあり、どんなにコストがアップしても、安全装置を外すことはあり得ないのです。
このように、製麺機の開発にはストーリーがあり、ポリシーがあるのです。
お店の運営にもストーリーがあり、ポリシーがあり、どんなに苦しくても、一貫性を持って貫かないと、ビジネスの一貫性がなくなり、永く成功するには、欠かせないことであり、すべて数字が物語っているのです。
本年2月21日から始まった、91日間に及ぶ、「イノベーションと起業家精神」の学びを終え、さらに学びを深めるために、5月26日より7月5日まで41日間の復習を進めてきましたが、さらに理解度を増すため、再再度、チャレンジし、自分自身を大きく変えるのに役立てていきます。
ニッチの占拠
総力戦、創造的模倣、起業家的柔道というこれら3つの起業家戦略は、市場や業界において、支配的とまではいかなくとも、トップの地位を目指すのですが、これに対し、隙間(ニッチ)の占拠を目指す戦略は、目標を限定し、すでに述べた3つの戦略が、大きな市場や業界で、支配的な地位を占めようとするのに対し、ニッチ戦略は、限定した領域で実質的な独占を目指し、3つの戦略が競争を覚悟しているのに対し、ニッチ戦略は、競争に免疫になる(競争とは縁のない世界でいる)ことを目指し、そもそも挑戦を受けることさえないようにし、総力戦、創造的模倣、起業家的柔道の戦略に成功すれば、大企業となり、普通名詞とまではなれなくとも、目立つ存在となるのですが、これに対し、ニッチ戦略に成功しても名をあげることはなく、実をとるだけであり、それらの企業は、目立たず優雅に暮らすのです。
実際、ニッチ戦略の成功のポイントは、製品としては決定的に重要でありながら、ほとんど目立たず、誰も競争を仕掛けてこない点にあり、ニッチ(隙間)戦略は、市場の一部で、代替のきかない存在になることであり、限定された分野で、圧倒的に有利なポジションを占める事ができるのですが、限定されているので、競争相手が現れにくく、限られた領域の目立たない支配企業になる方法で、ニッチ戦略は以下のように、3つあり、そのそれぞれが、特有の条件、限界、リスクを伴うのです。
1.関所戦略
2.専門技術戦略
3.専門市場戦略
I関所戦略
すでに述べたように、アルコン・ラボラトリーズは、老人性白内障の手術の流れに合わないプロセスを除去することのできる酵素を開発し、その酵素は、ひとたび開発し特許をとると、関所の地位を得ることが出来、手術用の酵素小さじ1杯分は、いかに価格が高くとも、手術全体の費用からすれば微々たるものであり、この酵素のコストを調べたことのある眼科医や病院はまず、あり得ず、市場は非常に小さく、世界全体でも年間売り上げは5000万ドル程度であり、競合品を開発するだけの価値はなく、価格を下げても、白内障の手術が増えるわけではないので、いかなる競争相手といえども、できることは、せいぜい世の中のために価格を下げることだけであって、自らは利益をあげられないのです。
これと似た関所的な地位を長年占めてきたのが。5、60年前に油井の火災防止装置を開発したある中堅の機械メーカーで、油井の掘削コストは数百万ドルに達し、火災が起これば、油井そのものを破壊し、それまでの投資を無駄にするので、掘削中の油井を災害から守る火災防止装置は、いかなる価格であろうとも、安い保険であり、この場合も、市場は非常に小さく、競争相手となりうる企業にとって魅力はなく、掘削費用の1パーセント程度にすぎない火災防止装置の価格を下げても、掘削する油井が増えるわけではなく、したがって、競争は価格を下げるだけであって、需要を増やさないのです。
関所戦略のもう一つの例示は、現在、W・R・グレースの1部門となっているデューイ&アルミーの事業で、同社は、1930年代に、缶詰の缶を密閉するための材料を開発したのですが、缶の密閉は缶詰に欠かせず、欠陥があれば破滅的な事故を起こし、ボツリヌス菌によって1人でも死ねば、缶詰会社は簡単に破産するので、缶詰の腐敗を防止する缶の密閉材料は、いかなる値段でも安いといえ、しかも、1缶当たり1セント以下という密閉コストは、缶詰全体のコスト、あるいは事故のコストと比べて、ずっと安く、誰も気にせず、問題はコストではなく、この市場も、前述の酵素や火災防止装置の市場よりは大きいが、きわめて限定されていて、価格を引き下げたからといって、缶の需要を増やすことにはならないのです。
◆関所戦略が成立する条件
このように、関所の地位は、企業にとって最も望ましい場所であるのですが、この戦略には厳しい条件があり、製品が、いずれかのプロセスにおいて不可欠なものでなければならなく、しかも、失明させるリスク、油井を失うリスク、缶詰を腐敗当せるリスクが、製品の価格よりも圧倒的に大きくなければならず、また、市場の規模は、最初にその場を占めた者が、占拠できるほどの小ささでなければならず、それは、どこか1社だけが占拠でき、しかもあまりに小さく目立たないために、競争相手が現れようのない、真に生態学的なニッチでなければならないのです。
もちろんそのような関所的な場所は、簡単には見つからず、通常それは、何かのギャップのなかにあり、それは、アルコンの酵素の例のように、プロセス上のギャップにあり、あるいは火災防止装眞や缶詰密閉用の材料のように、機能不全のもたらすコストとその防止のためのコストとの間のギャップにあるのです。
これは、麺専門店ビジネスにおいても、同じようなことが言えるのです。
多くの新規開業者は出来るだけ、お客さまの数の多い場所、賑やかな場所に出店をしたがるのですが、そのような場所は、競争が厳しく、家賃が高く、駐車場の確保が難しい場所が多く、もし、そのような賑やかな場所で開業し、繁盛すると、多くの強いライバルが押し寄せるのですが、田舎の人口の少ないが、駐車場のシッカリ取れる場所で開業すると、幾ら繁盛しても、人口が少ないので、強いライバルは出て来ず、市場が少ないのが分かっているので、出店しても、採算が取れないのが分かっているのです。
従って、新規開業者は、ニッチ戦略を取るべきなのですが、ほとんどの新規開業者は、反対のことを行なっています。
◆限界とリスク
この関所戦略には、厳しい限界とリスクが伴い、そもそもそれは、静的な空間であり、ひとたびその適所を占めてしまえば、大きな成長は見込めず、関所の地位を占めた企業が、勝手に事業を拡大したり、変えたりすることはできず、いかに優れ、いかに安くとも、需要は、その製品が組み込まれているプロセスや製品への需要によって規定され、このことは、アルコンにとってさほど深刻な意味はなく、白内障は景気の影響を受けないのですが、油井の火災防止装置メーカーは、1973年に石油掘削が急増したときと、1979年に石油ショックが起こったとき、巨額の設備投資を余儀なくされ、ブームが長続きするはずはなかったし、投資しても回収できないことは明らかだったのですが、投資にせざるを得なく、投資しなければ市場を失い、2度と取り返せないかもしれなかったのですが、その数年後、現実に石油ブームが去り、年間の油井掘削が80パーセント減少し、それとともに火災防止装置の需要が激減したとき、なす術はまったくなかったのです。
関所戦略は、ひとたび目標を達成してしまえば、すでに成熟期にあり、最終需要者の成長と同じ速さでしか成長できないのですが、需要の減退は急速に起こり得て、需要を満たすほかの方法が発見されるならば、ほとんど一夜で陳腐化し、デューイ&アルミーは、缶詰の缶が、ガラス、紙、プラスティックの容器に取って代わられたり、冷凍や放射線照射による食物保存の方法が現れても、講じるべき対策がなく、しかも、関所戦略をとった者は、その独占を濫用することができず、山賊となって、山すその細道や峡谷を通る無防備な旅人を、強奪したり凌辱することを許されず、独占を濫用して、顧客を搾取、強要、虐待することが出来ず、もし、そのようなことをすれば、ユーザーは別のメーカーを招き入れるか、あるいは、たとえ優れたものでなくとも、ほかの製品に切り替えるのです。
ニッチ戦略の正しい戦略は、デューイ&アルミーが、すでに40年以上にわたりとってきた戦略であり、同社は、広範囲の技術サービスを提供し、ユーザーの従業員を訓練し、同社の材料を使用する製缶機械や缶詰機械の設計まで行ない、しかも、絶えず品質の向上をはかっているのです。
関所戦略においては、関所の周りを固めてしまう、デューイ&アルミーの戦略は、非常に的を得た戦略であり、ここまで関所の周りを固めてしまうと、追随者の参入障壁は限りなく高くなり、参入はほぼ不可能になり、関所は難攻不落であるのですが、その守備範囲は狭く、そのためアルコンは、この限界を乗り越えるべく、人工涙、コンタクトレンズ用液、非アレルギー性点眼薬など、目に関するあらゆる消費財へと多角化し、それらの新事業は、スイス系多国籍企業の大手消費財メーカー、ネスレの関心を誘い、巨額の資金で買収されるにいたったというかぎりにおいては、成功だったのです。
ドラッカーの知るかぎり、アルコンは、関所戦略で成功しながら、自らが占拠した関所以外の市場において、関所とならない製品でも成功した、唯一の企業ですが、アルコンにとって、経験のない競争の激しい消費財市場に多角化したことが本当に利益になっていたかどうかはわからず、関所戦略の場合の問題点は、時代の流れを敏感に読み取り、1つの関所戦略で成功したら、その余力のあるうちに、次の新しいニッチの関所を見つけることであり、決して、油断することは出来ないし、一つの関所だけに依存していると、上記の油井の火災防止装置メーカーの事例のように、景気の変動を受けて、危うい状態になりかねないのです。
画像は先週の東京支店でのラーメン学校最終日、生徒さんの作品事例で、冷たい、夏用のラーメンです。
白い陶器の器を使っていたので、ガラスの器を使うようにしたら、涼しい雰囲気になったのです。
今日も最高のパワーで、スーパー・ポジテイブなロッキーです。